• 2023/04/20
  • 歯科コラム

歯科の器具の衛生管理

今回は歯科の器具の滅菌(消毒)について詳しくお話しいたします。

西大島ハーヴェスト歯科・矯正歯科では院内感染を防ぐため徹底的な衛生管理を行っております。安心して治療を受けていただけます。

 

主に器具の滅菌方法としてあげられるのが高圧滅菌処理です。歯科医院や医療機関で使用される器具の滅菌に一般的に用いられる方法です。この方法では、高圧蒸気を使って、病原微生物やその胞子を破壊し、器具の表面を滅菌します。高圧滅菌処理は、オートクレーブと呼ばれる専用の装置を使用して行われます。Nクラス、Bクラスと分類され当医院は器具の種類に応じてその両方を使用しております。

1オートクレーブの原理: オートクレーブは、密閉されたチャンバーの中で水を加熱し、高温高圧の蒸気を発生させることで、病原体を滅菌します。通常、121134℃の温度と15-20分の加熱時間が必要です。この高温高圧の状態が維持されることで、病原微生物のタンパク質が変性し、細胞壁が破壊され、その生存が不可能になります。

2高圧滅菌処理の手順:

 a) まず、使用済みの器具を清潔な水で洗浄し、乾燥させます。 b) 次に、器具を滅菌包装材で包み、オートクレーブ用のトレイにセットします。 c) オートクレーブのチャンバーにトレイを入れ、装置の扉をしっかりと閉めます。 d) 指定された温度と時間で滅菌サイクルを開始し、完了するまで待ちます。 e) 滅菌が終わったら、オートクレーブを開け、包装された器具を取り出し、乾燥させます。 f) 乾燥が完了したら、器具は滅菌済みとして保管され、次の患者に使用されます。

3高圧滅菌処理の利点:

環境に優しい: 化学薬品を使用しないため、環境に優しい滅菌方法です。

高圧滅菌処理は、ウイルス、細菌、真菌、その胞子を含む、幅広い病原体に対して非常に効果的です。

安全性: 化学物質を使わないため、スタッフや患者への健康リスクが低く、取り扱いが容易です。

速度: 滅菌サイクルが比較的短時間で完了し、器具を迅速に再利用できます。

4高圧滅菌処理の欠点:

材料への影響: 高温高圧の環境が、一部のプラスチックやゴム製の器具に悪影響を与えることがあります。

維持費用: オートクレーブの定期的なメンテナンスや消耗品の交換が必要です。

正確なパッケージング: 正しく滅菌を行うためには、器具を適切に包装する必要があります。

5オートクレーブのメンテナンスと管理: オートクレーブの性能を維持し、正確な滅菌を確実に行うために、以下のメンテナンスと管理が必要です。

定期的な検査: オートクレーブの温度や圧力が正確であることを確認するため、定期的に検査を行います。

消耗品の交換: シールやゲージなどの消耗品を定期的に点検し、必要に応じて交換します。清掃: オートクレーブ内部の清掃や水タンクの管理を行い、詰まりや汚れがないことを確認します。

 

高圧滅菌処理は、歯科医院や医療機関で最も一般的に用いられる滅菌方法であり、安全で効果的な環境を提供するために重要な役割を果たしています。

正しい手順と適切なメンテナンスを行うことで、患者とスタッフの安全を確保し、感染症のリスクを最小限に抑えることができます。これにより、歯科医院は患者さんに安心して治療を受けてもらえる環境を提供し、信頼性を向上させることができます。

しかし、高圧滅菌処理には限界も存在し、すべての器具や状況に適用できるわけではありません。そのため、歯科医院では、オートクレーブ以外の滅菌方法(例: エタノールやグルタラルデヒドを用いた化学的滅菌、紫外線滅菌器、ガス滅菌など)も併用することがあります。さらに可能な限り使い捨てれるものはディスポーザブルにしております。

 

最後に、感染症対策は歯科医院において非常に重要ですが、それだけでは十分ではありません。患者さんとスタッフが適切な衛生習慣を実践し、院内感染のリスクを低減する取り組みを継続的に行うことが、安全で信頼性の高い医療環境を維持するために不可欠です。

 

コロナ以外にも感染症はたくさんあります。安心安全の医療を提供すべく真摯に取り組んでまいります。

一覧に戻る